子供がまだまだ幼かった頃、火傷させてしまったことがあります。
急いで救急に駆け込んで、数日はドキドキしながらガーゼ交換をしていました。
火傷のレベルとしては2度の熱傷という感じで、水ぶくれが破れて、粘膜の部分まで達しているという状態でした。あのときの不安や後悔、苦しい気持ちは忘れられません。
祖母の知恵と経験
そんなとき、私の祖母が『紫雲膏』という漢方の塗り薬を教えてくれました。真っ赤な『なんじゃこれ?』って思うような軟膏ですが、火傷に効果的なようで、跡がならないようにとそれを渡してくれたのです。
今では子供の火傷というのは、減ってきていると思いますが、日常に七輪や火鉢なんかの火があった頃、子供の火傷は多かったのでしょう。祖母も子どもたちが火傷したことがあって、不安になりながら手当をしてきた経験があったそうです。その時に、緊急の手当やその後に跡が残らないような処置をアレコレ調べたり人に聞いて知識を得ていて。それを今でも備えていると話してくれました。
火傷にはステロイド剤が処方される事が多いので、幼い子供に塗り続けることにも、私自身は不安がありました。だから、紫雲膏という副作用のない漢方の軟膏は塗り続けていくことに抵抗がなく、安心して使い続けることが出来ました。
そして、紫雲膏は本当に効果的な漢方の薬で、火傷だけでなく、擦り傷・切り傷・しもやけ・かぶれなんかをキレイに痛みなく治してくれました。だから、火傷が治ったあとも我が家の常備薬になり、火傷・擦り傷・水ぶくれなんかにはとにかくそれを塗って、治していました。いつも私の子ども用バッグには入っていて、安心を与えてくれていた紫雲膏です。
紫雲膏
紫雲膏というのは、もともと日本人が作り出した軟膏薬だそうです。外科手術後の創傷治癒を促す薬として調合され、使い続けられてきた薬だそう。今も、漢方薬局なんかではグラム売りしてくれて、入手することが出来ます。
原材料(配合)
- 胡麻油(25ml)
- 当帰(2g)→セリ科トウキの根。血に滋養を与え、血の循環を活性化するとされる。女性の不妊・生理不順・更年期障害などに服用される海外でも有名な漢方薬。
- 紫根=シコン(2g)→多年草「ムラサキ」の根を乾燥させたもの。皮膚再生効果が高く、アトピー性皮膚炎や花粉症による皮膚損傷の修復に効果的。 抗酸化作用もあり、日焼けによるシミ・そばかす、肌の細胞膜の酸化による「老化」を予防。
- 蜜蝋=黄蝋 (5g)→ミツバチの巣から得たロウを精製したもので、 解毒、消腫、生肌の効能がある。
- 豚脂(0.5g)→補虚、潤燥、解毒の効能があり、外用としてひびわれ、あかぎれ、しもやけ、やけどなどに用いられる。
1.胡麻油を鍋に入れ140℃約1時間加熱
2.蜜蝋,豚脂を加え20分120℃で加熱
3.当帰をガ-ゼ2枚で包み加え,120℃で20分抽出
→常に120℃をキープし、絞りながら抽出すると良い
4.紫根をガーゼ4枚で包み140℃で15分抽出
→142℃に近い温度で絞りながら抽出(170℃は超えない)
5.水を張った桶に鍋を付けて冷ます
6.固まってくるのでかき混ぜながら練って完成
祖母と迷信
そんな効果的な薬を教えてくれた祖母ですが、それとまた別に持ってきてくれたのは『土用の雨水』でした。土用の期間に降った雨水が火傷に効くと言うことで、祖母は土用に雨がふるとその水をとっておくのだとか。
多分、いや絶対にそれはもはや迷信なんですけど。
だって、そんなこと自然療法の本にも漢方の本にも書いてないし、検索しても出てこないし…。根拠もなにもないわけで…。
だけど、そういう効果的と聴いたものを備えておく、そんな祖母の強い想いが大切なんだなと思うのです。
雨水自体はなんかもはや逆効果かもしれないけど…。なんでもすがる思いで探して、『効果がある』と聞いたことはやってみたり、準備しておいたり。
同じように困っている人や大切な人のもしものときのために、行動できること。
それが、伝わってきて嬉しいし、治せる気持ち治したい気持ちに切り替えてくれたりする力になるんだなと感じました。
私自身、そのときは本当に不安で苦しかったから、祖母が『こんなのもあるんよ』って、持ち出してきてくれた雨水に、『本当に!?っていうか、この赤い薬(紫雲膏)も大丈夫なの??』って、少し疑心暗鬼を浮かべながらも、自分の心からフッと力が抜けていくのを感じていました。
深刻なときに力を抜いてくれることって、本当にとても大切なことなのだと思うのです。
それが、茶化しやおどけた笑いではなくて。本当に大切にしたい想いの乗った上での何かであると、あたたかい気持ちとともに心を弛ませてくれるのですよね。
そういうの相手からの気持ちが、1番の薬というか。漢方や代替え療法のアレコレの中で大切なことだと思っています。
漢方薬の活用 自分に詳しくなること
漢方は今、医療の中にも取り入れられてきていて、保険適用の漢方薬も多いです。
副作用が少なく、体に優しい薬という印象を受ける漢方薬ですが、効果はとても大きいです。ただ、西洋医学とは全く異なる不調へのアプローチになるので、その人の体質や今の状態、生きている気候風土の影響など、あらゆる状況を見ながらその時に合うモノを探していくことになります。
その合う処方をするのがとても難しいことなので、ご自身でも合うモノを合わないモノを感じながら探していくことも必要になると思います。
そのためには、自分自身に詳しくなる…ということが重要です。
単純に今日が不調なのか好調なのかを感じる時間をもったり。
不調を感じたら、何が・どこが・どういう不調のサインを出してるのか自分で知ろうと意識したり。
昨日と今日、今日と明日の身体や心の変化を書き留めておいたり。
どんな身体と心の状態でいたいかを決めたり。
水っぽい・油っぽい・乾燥といった状態を気にかけたり。
病院や医療も、美容やダイエットも、健康維持のためのアレコレも。自分が主体で決めていくことです。どれが良いのか、なにが効果的なのかは、その人によるので、自分で決めて取り入れることだとしっかり意識して、選択していきましょう。
そのために、自分で自分を観るということをしていきましょう。
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