以前、玄米菜食に取り組んでいたことがあります。子供が産まれてから6年くらいはほぼ毎日玄米を食べていました。玄米食にもいろいろあって、玄米・発芽玄米・酵素玄米など様々で、それぞれ全く違う味わいと食感で栄養価も異なります。
浸水・炊き方・保存を変えるだけで、同じ玄米でもこんなに違うのかと驚きです。
まだ玄米を食べたことがない方や、挑戦してみたいけど炊き方が面倒くさそうと感じている方に基本的な玄米の炊き方と種類をお伝えします。
玄米の成分とメリット・デメリット
玄米は白米が精製される前で、稲から取ってもみ殻から外した状態のお米です。
この玄米を精米器にかけて精製したのが白米で、削られた部分が米ぬかになります。
この米ぬかの部分にはたくさんの栄養素が含まれていて、ぬか漬けに使用されたり、肥料として活用されてきました。
デメリットとされてきた成分について
以前から玄米のデトックス効果が認められてきましたが、ヒ素の含有やフィチン酸・アブシジン酸といった『発芽毒』による悪影響やミネラル不足になるといったデメリットも噂されてきました。
しかし、現在では政府の食品安全委員会の報告により、ヒ素・フィチン酸・アブシジン酸といった成分は小麦や蕎麦などの他の食品にも含まれており、健康被害への影響は認められないとされています。
現代の食生活でより際立つ玄米食のメリット
・フィチン酸→抗酸化作用・抗がん作用・血栓予防・体内の余分な毒素の排出といった身体への有益な効果
・γ-酪酸(GABA)→精神安定作用・血糖の上昇抑制作用(発芽玄米や酵素玄米に豊富に含まれている成分)
残留農薬について
残留農薬については、米ぬかの部分に溜まりやすいと言われています。
そのため、玄米食は無農薬米で作ることをおすすめします。
私が玄米食を実践していた頃には、『発芽毒』という言葉をよく耳にしていました。これはアブシジン酸という玄米の『発芽抑制因子』が栄養素を外敵から守り、自分自身(玄米)に蓄えておくための機能です。この成分が、私たちのエネルギー生成に関わるミトコンドリアを傷つけるという噂があったのです。
しかし、これららも浸水や熱処理によって、食べる時にはほぼなくなっているということがわかってきました。12時間以上の浸水で1/3まで減少させることができる。
また、フィチン酸に関してはサプリメントでも売られていますが、抗酸化作用があるものです。しかし、このフィチン酸はミネラルと結合しやすく、体に必要なミネラルを排出してしまうというものでした。しかし、食事に含まれるミネラル全てを吸収排泄してしまうことはないとされています。
こういった危険性を示唆した噂のため、子供に玄米を食べさせることにも随分悩んだ時期もありました。でも、最近では健康被害への影響はほとんどが噂とされ、実験報告も出てきました。玄米食による悪影響よりも、現代の食生活の中ではより有益とされる効果の方がずっと多くあることが認められています。
玄米ご飯を炊く道具と炊飯方法
玄米ご飯を炊くには、専用の炊飯器や圧力鍋が必要と思っていませんか?
時間は少しかかりますが、浸水をしっかりすれば土鍋や普通の炊飯器でも十分おいしい玄米ご飯を炊くことができます。
私は以前は毎日圧力鍋で炊いていました。それは、子供が小さくて浸水せずにすぐに炊飯しなくちゃいけないことが多かったので、圧力鍋を使ってすぐに短時間でささっと玄米を炊いていました。
圧力鍋を使えば、浸水していない玄米でも発芽玄米のようにおにぎりにできる玄米ご飯が20分ほどで炊けてしまいます。圧力鍋で圧をかけることで外皮が弾けてしっかり中まで水分と熱が通って、短時間でしっかりご飯の粘りと甘さを感じる炊き上がりになるのです。
玄米ご飯を主食にするなら、その手間もしっかり考慮に入れないと継続が難しくなります。いろんな方法を試して、自分に合う方法とお好みの炊き上がりを選んでみてください。
<玄米ご飯を炊く道具と手間>
・玄米…1合
・水 …220cc
・塩 …小さじ1/4(お好みで)
(塩は玄米の苦味を軽減する効果があります)
ポイント1
玄米は洗う際に、しっかり擦り合わせて外皮に傷をつけると吸水しやすく、ふっくらと炊き上がるそうです。洗う時に泡立て器を使用するのも効果的。
ポイント2
浸水中はなるべく光を当てず、発芽を促すと良いです。気温や水温にもよりますが、24時間ほど浸水すると胚芽部分から少し(0.5 mmほど)発芽して発芽玄米として栄養価が高まって、より良いですね。
ポイント3
気温が高い時には、浸水している水に雑菌などが繁殖する場合があります。そのため、時々水を交換するか、冷蔵庫で浸水させましょう。
<浸水時間を要する土鍋・通常の炊飯器>
浸水時間: 8時間→浸水不足で、お米一粒一粒を感じる食感。(圧力鍋炊飯はOK)
12時間→プチプチとした食感とモチッとした食感が混じる。
24時間→白っぽくふっくらとした炊き上がりで、甘みを感じる。
※浸水時間12時間以上でアブシジン酸をかなり減少できる。
炊飯器の場合は、通常のご飯と同様に炊飯。玄米や発芽玄米の設定がある場合は、設定に合わせて炊飯。
土鍋での炊飯の場合は、
沸騰するまでは強火で熱し、沸騰してきたら一度全体をかき混ぜる。弱火に落とし、通気孔から湯気が軽く出ている状態で12分ほど炊飯。炊き上がったら5分蒸らして完成です。
<手軽で時短できる圧力鍋>
浸水時間はなくてももっちり炊けますが、通常は6〜8時間以上浸水させた方が良いです。
玄米と分量の水を圧力鍋にセットする。圧力がかかるまでは強火で熱し、圧がかかったら火を弱火に落とし、シュッシュッと圧をかけたまま18分〜20分炊飯します。火から外し、10分ほど蒸らして圧力が自然に抜けたら完成です。
玄米の外皮はとても硬くて、中のお米の芯にまで浸水させるには時間がかかります。そのため、土鍋や普通の炊飯器で柔らかく炊飯するためには長時間浸水させる必要があります。
そのまま浸水させずに炊いたり、短時間の浸水で炊飯器や土鍋で炊いてしまうと、本当にポロポロとしたおにぎりにもしづらい炊き上がりになってしまいます。これでは玄米ご飯とはいえ、なかなか主食として採用しづらいんじゃないかと思います。
また、浸水時間をしっかり取ることで、ご自宅で簡単に発芽玄米の状態にすることができます。発芽玄米は玄米よりも栄養価が高く、炊飯もしやすいので、より良いと考えられます。発芽しすぎると栄養価が減少しますので、ほんの少し(0.5㎜ほど)胚芽から伸びている状態の発芽玄米にもぜひ挑戦してみてください。
玄米ご飯の種類と栄養価
玄米と言っても、玄米・発芽玄米・酵素玄米があります。
それぞれの特徴と炊飯方法をご説明します。
玄米
そのまま玄米を水に浸して、炊飯したものです。浸水時間が短いとパラパラとしてご飯のもっちりとした食感が出ず、食べづらいです。
発芽玄米
発芽玄米として売られているものもありますが、ご家庭でも暗い場所で長時間浸水させることで発芽玄米にすることができます。発芽によって酵素が活性化され、玄米よりも栄養価が高く、甘味も出るため非常に食べやすいです。また、外皮が柔らかくなっているため、普通の炊飯器や土鍋でも簡単に炊飯可能が可能です。
発芽が進みすぎると栄養価が下がっていくため、発芽の見極め(胚芽から0.5㎜ほど)が必要ですが、それほど難しくないのでぜひ挑戦してほしいです。
酵素玄米
発芽玄米同様に酵素の働きが活性化し、ビタミンやミネラル・アミノ酸、食物繊維、GABA(ギャバ)が増加し、栄養価の高い玄米になっています。玄米・小豆・塩を一緒に炊飯し、その後炊飯器の保温機能を使って活性化を進めていきます。3日ほど時々かき混ぜながら、保温状態で置くとだんだんと色が変化していき、モチモチとした食感が増してきます。玄米ご飯とは全然違った食感と風味になって、とても食べやすいです。
3日以上炊飯器においていますが、玄米の糖質に小豆のタンパクやアミノ酸が反応し、メラノイジン(食品中の褐色成分)が生成されていきます。この成分には抗菌作用があるため、腐食せずに栄養価を高めることができます。
酵素玄米の分量
・玄 米…3合
・小 豆…30g
・自然塩…3g
・ 水 …220cc
主な身体への効果
玄米食による身体の変化は、たくさんあります。玄米に含まれる成分や栄養素によって、身体が受ける影響と有益な効果について解説します。
また、成分によるデメリットについては、健康被害を引き起こすほどの危険はないと報告されています。玄米では他の食材同様のことで、デメリットよりもむしろメリットの方が多いことが証明されてきています。玄米食に挑戦してみたい人は、ぜひ安心して初めてみてください。
糖質比較
種類 | エネルギー | 糖質 | 食物繊維 |
白米 | 168kcal | 36.8g | 0.3g |
玄米 | 165kcal | 34.2g | 1.4g |
発芽玄米 | 167kcal | 33.2g | 1.8g |
さらに血糖値が上昇しにくいことで、脂肪を溜めやすくなるホルモンのインスリン分泌量が減るので、ダイエットにも向いています。
①便秘の解消
食物繊維が多いことで、便量が増加して腸内環境が改善される効果があります。しかし、胃腸での消化に負担がかかるため、しっかり咀嚼することで負担を軽減する必要があります。
咀嚼回数が増えると唾液の分泌が増え、口臭・虫歯の予防効果もあがります。
②精神安定
GABAは自律神経を整え、心身リラックス効果があります。脳内セロトニン量も増加し、ストレスへの抵抗性が高くなります。
発芽玄米のGABAの含有量は、玄米の3倍・白米の10倍ほどである。
③高血圧改善
アブシジン酸には抗炎症作用があり、動脈硬化や糖尿病の改善に有用と考えられています。また血糖値の上昇抑制作用によって、血中コレステロールも抑えられるため、高血圧の改善になります。
④血糖値のコントロール
発芽玄米食では特に、空腹時の血糖値を下げる効果が認められています。血糖値は緩やかに上昇し、また緩やかに減少するため、血糖値が安定した状態が維持されます。
⑤肥満抑制
血糖値の上昇しにくさにより、中性脂肪の増加抑制効果も認められます。インスリンは脂肪を溜めやすくするホルモンでもあるため、血糖値の安定によりインスリンの過剰分泌が抑制されることで、脂肪を溜め込みにくい状態にしてくれます。
⑥アトピー性皮膚炎
難治性アトピーの食事療法としても、その効果が認められる結果が報告されています。
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