漢方的な身体の見方

心と身体のこと

大寒波の到来で、春はどこ?という感じですが。

二十四節気では、雨水という雪解けの季節となりました。今年は2/18からが雨水で、今季最後の大寒波となるのでしょうかね。

これからの季節に食べたい漢方食材と身体の変化をお伝えしたいと思ったのだけど、
外は雪景色であったかいお鍋が食べたい気分なのです…。

なので、先に季節が五臓にどのような影響を与えているのかと、五臓それぞれがお互いどんな風に影響し合うのかをお伝えしたいと思います。

五臓と季節

五臓には季節によって影響を受けやすいとされるものが定められています。

  春  :  肝
  夏  :  心
土用:  脾
  秋  :  肺
  冬  :  腎


寒暖差の大きさが自律神経に大きく影響すると言われています。自律神経の調整機能を司るのは、漢方では肝です。『血液の貯蔵や調整』と『気を巡らせる』という役割をもつのが、肝とされています。


暑さが自然と心拍を高めて発汗します。これはそのまま『血液を全身に巡らせる』働きをもつ心に影響を与えています。漢方の心は、『精神(こころ)の調整』も司るとされています。
夏のイライラは、この心が活発に働くことで生じやすいのです。

土用
季節が入れ替わる変わり目にあたります。この時期には、消化吸収の働きを持つ脾が影響を受けやすいとされます。脾は、『血・気・水の源をつくり出し』、『全身に栄養を行き渡らせる』役割ももちます。
気候が変わる時期には、それに応じ身体が調整をするため、どこか疲れを感じることがあります。その影響が出てくるのが、この土用と呼ばれる時期です。


空気が冷く乾燥し、呼吸器系の病気にかかりやすい時期です。この時期に影響されるのが、肺という器官。漢方でいう肺は、『呼吸器系の働き』だけではなく、『皮膚・粘膜といった外界との境でのバリア機能』を果たす役割を持ちます。皮膚の乾燥などの症状が出やすいのも、この季節です。漢方では、アレルギー症状の発現は『肺機能の弱まり』として捉え、対処します。


寒さが身に沁みて、生命活動が弱る時期です。この生命力や成長に関わる器官は腎です。漢方の腎は『成長や生殖活動』を司り、『水分調整や血の生成』にも関わる重要な臓器です。
冬季うつなど生きる気力が弱まるのは、寒さが増し腎の働きが弱ることが大きな要因の一つと考えられます。

春に向かう時期の五臓

春は肝

春の季節は『肝』への影響が大きく、自律神経が乱れて不安定になりやすいです。
肝は、ストレスに弱い臓器です。この時期の不安は、外的要因によることも多いもの。気候・対人関係・気がかりなことなど…。何か不調を感じた時には、外のものとの付き合い方や対処法を考えてみるのも大事になります。
〈精油のおすすめ〉
・ラベンダーアングスティフォリアやベルガモットのような心を和らげるような香り
・サイプレスやジュニパーなどの安心に包まれるような木の香り
・ゼラニウムやマジョラムのような精神的な疲れから解放してくれるような華やかな香り

冬は腎
まだまだ寒さが続いているので、冬の腎の不調が影響しています。腎の弱りからくる不安には、内的要因が強いです。やる気・元気がなんとなく湧いてこない…、そんな不調はむくみなどの水分や血液の滞りが、肝に影響し自律神経を乱していると考えられます。
まずはゆっくり浮腫のケアをしたり、気怠さを取るために軽い運動や散歩をしたりと、自分の気分を切り替えるようなケアを考えてみると改善が早いかもしれません。
〈精油のおすすめ〉
・パチュリーやヒソップのような安らぎを与えてくれる香り
・フランキンセンスのような気分の落ち込みから回復させてくれるような樹液の香り
・バルサムモミやジュニパーのような感情を落ち着かせてくれる木の香り
・ユーカリ・ディベスのスッキリした香り

精油の香りは本能的な部分に働きかけ、自分の本質的な欲求を明確にしてくれます。その時の自分に合う香りを見つけるのも楽しいですよ。
またオイルに混ぜて塗布すると、滞りを流す助けになってくれたり、抗菌性を高めたりと、様々な作用を期待することもできます。
※精油は濃度が濃いものなので、副作用がでることもあります。用法や用量はしっかり守り使用して下さい。

味覚で知る五臓のサイン

漢方では、相互(影響しあうモノ)・相関(条件により連動するモノ)関係にあるものがいくつも示されています。

五臓の不調と味覚にも影響があるとされ、そこから自分の不調を知る手がかりにすることもできます。

肝 : 酸味
→酸味には収斂性があり、汗や排泄の出し過ぎを防ぎます。ストレス解消の効果もあり、肝の機能を補います。

心 : 苦味
→苦味は過剰な熱や水分を排出してくれます。興奮を鎮める効果もあります。余分な湿気を取り除くことで心の働きを助けます。

脾 : 甘味
→甘味は食材本来の自然な甘みのこと。滋養強壮に作用し、弱った身体を回復させます。消化を助け脾の働きを補います。

肺 : 辛味
→辛味は体を温め発汗を促し、体内の余分な水を排出します。気や血の巡りを良くするほか、呼吸機能を高め、肺の働きを助けます。

腎 : 鹹味(塩味)
→鹹味にはしこりなどの硬いものを小さくしたりやわらかくする作用があります。腎の働きを助け、体内の水分量を調節します。

なぜか、ときどき無性に食べたくなるものはありませんか? 
それは、実は身体が何かの不足や不調を示して出しているサインかも知れません。

『酸っぱいものが食べたい!』『サッパリしたい!』、こんなときは肝が疲れを示しているサイン(症状)だったりします。
梅干しや酸味のある果物を摂ることで、自律神経を落ち着かせることもができます。

〈糖質と甘味の違い〉

疲れたら甘いものを過剰に摂取してしまう…というのは、感覚器官というよりは糖質依存による影響が強い可能性があります。漢方でいう甘味は、野菜や穀物の持つ自然な甘みのこと。
感覚は強い刺激を受け続けることで、鈍感になってしまうこともあります。精製された糖質を強く欲する場合には、少し制限してみるのもいいかもしれません。

〈塩味と鹹味の違い〉

ポテトチップスが無性に食べたい時は、塩味を欲しているのですが…、これはただの塩味ではなく、鹹味というミネラルを求めているのかもしれません。その場合、昆布や海藻類を食べると満たされるかもしれません。ぜひ参考に。

このように味覚として欲するものにも、各器官の不調だったり、自己調整を図るためのサインがあるので、ときどき意識してみて下さい。自分の感覚をそんな風に捉えて、じっくり感じてみることも予防には大切です。

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