花粉症予防に抹茶

心と身体のこと

日本は紀の国(木の国)と言われるほど、豊かな森が多い国です。
中でもスギは、大昔から綺麗な水を産むために必須とされてきました。ラテン語では『クリプトメリア・ヤポニカ=日本の隠れた財産』という学術名が付けられているほど、この豊かな自然環境や文化にとって大きな影響を与えてくれている植物の一つです。

まっすぐ伸びる2本の大スギ

そんなスギですが、付着しやすい土や植物などの少ない都市部では特に花粉の飛散量が多くなり、花粉症を発症する人も多いようです。
私は今は花粉症ではないですが、以前名古屋市内で生活していた一時期は、軽い花粉症の症状が出ていたことがあります。
田舎に引っ越したら症状が落ち着いたという人も多いようですよ。

そんな花粉症に、抹茶の抗菌・殺菌・抗アレルギー作用が効果的と言われています。緑茶や抹茶には様々な有効成分が含まれていて、立派な生薬として漢方でも活用されています。
春の時期には、その綺麗なグリーンの色と爽やかな風味と苦味で、心まで春の気分でいっぱいにしてくれますが、実際にこの時期に摂取することで心と体にたくさんの良い効果を与えてくれる成分が含まれていますので、ご紹介していきます。

春の季節と体調変化

春はとてもワクワクする季節ですが、体調不良を引き起こしやすい季節でもあります。一年のうちで最も寒暖差が大きく、気温の変化に対応するため、体が交感神経優位になりがちです。

交感神経優位な状態というのは、緊張状態が持続しているのと同じですので、筋肉がこわばって肩こり腰痛が起こります。そして、体の疲れが溜まりやすいので、免疫力も低下していきます。さらに交感神経優位になると胃腸の働きが弱くなり、体の冷えや寝つきの悪さを感じる人も多いのです。

春の不調で多いものがこちら

  • 昼間の眠気
  • 体のだるさ
  • イライラ感の持続
  • 肩こり
  • 気分の落ち込み
  • 憂鬱感
  • 倦怠感
  • 目覚めの悪さ
  • 不安感
  • 腰痛

このような交感神経・副交感神経の働きを調整する器官を自律神経と言いますが、漢方の五臓六腑では『心』にあたります。
現代医学での心臓の捉え方とは違い、漢方の『心』は、血の巡りに影響するポンプの役割に加え、精神活動(精神・意識・思考)や睡眠の質に関わる働きを持っています。自律神経というのは心臓の鼓動の速さにも影響を与える器官ですので、上記の症状が現れてくるというのは現代医学から見ても、漢方学から見ても当然のことではあるようです。

春の不調への対処法

では、実際にはどんな対処法があるのでしょうか。
先ほどお話しした漢方の『心』の不調に効果的な食品として挙げられるのが、苦味のある食品とされています。

ブラックコーヒーが好きな方で、何かいつも欲してしまって1日に何杯も飲まれる方は、実はこの『心』の機能が落ちている症状なのかもしれません。
最初にお伝えした花粉症という症状も、体の不調からくる免疫機能の低下によって、体のバリア機能が下がることで花粉症症状を悪化させることになります。抗アレルギー効果のあるものを摂取するというだけでなく、体全体の機能を引き上げることによって症状を抑えていくことも重要になりますよね。

『心』を整えるために必要な食べ物は…
苦味のあるものや赤いものが良いとされています。
赤色の食べ物:赤身のお肉やお魚、トマト・スイカなど。
苦味のある物:ピーマン・ゴーヤ・ミョウガ・ウコン(ターメリック)・ふきのとう


このように、苦味のある食品は春や夏の野菜に多いのです。それは、気候的に心が不安定になりやすい春、心が苦手とする熱が篭りやすい夏の時期に、ちゃんとそこに生薬が与えられている感じがしますよね。
マクロビの中では、食養会のスローガンとして掲げられた身土不二という言葉があります。これは『体と土とは一つである』とし、人間が足で歩ける身近なところ(三里四方、四里四方)で育ったものを食べ、生活するのがよいとする考え方と言われています。

現代では多種多様なものが簡単に手に入り、一年中好きな野菜を食べることができます。それでも、気候風土というものは変わらずにそこにあって、その影響を受けたときには、その土地のその季節の食材に助けてもらうということも大事なことなのかなと感じます。

苦味食材の抹茶

さて、では苦味食材に属する中で、抹茶はどうでしょうか??

抹茶には本当にたくさんの成分があり、効能も多いです。中でもどんな成分がこの春の不調に効果的なのでしょうか。

【 抹茶の主成分と効能 】

カテキン
血中コレステロールの低下・体脂肪低下・がん予防・抗酸化作用・抗菌作用(虫歯予防)・抗インフルエンザ・血圧上昇抑制・血糖上昇抑制・脱臭作用(口臭予防)・抗アレルギー作用

・カフェイン
覚醒作用(疲労や眠気の除去)・持久力増加・二日酔い防止・利尿作

・テアニン(お茶の葉だけに含まれるアミノ酸)
神経細胞保護作用・リラックス作用(α波出現)

・ビタミンC
皮膚や粘膜の健康維持(コラーゲン形成)・抗酸化作用

・ビタミンB2:皮膚や粘膜の健康維持
・ビタミンE:抗酸化作用
・葉酸:神経管閉鎖障害の発症予防・動脈硬化予防
・βカロテン:夜間の視力維持
・フッ素:虫歯予防
・ミネラル:整体調整作用
・γアミノ酸:血圧低下作用
・フラボノール:抗酸化作用・血管壁強化・がん予防

お茶の成分に含まれるカテキンには抗アレルギー作用が認められています。
カテキンはアレルギー誘発物質であるヒスタミンの放出を抑制する作用があります。

カテキンは、マスト細胞からのヒスタミンの放出を抑制することにより、くしゃみや目のかゆみ、鼻水を抑える効果が確認されています。

抹茶のカフェイン

コーヒーも抹茶も依存性のあるカフェインを多く含んでいます。
成人のカフェインの最大摂取量は400mg、一回あたり最大200mgとしています。100mlあたり57mgのカフェインを含むインスタントコーヒーであれば、約700mlとされます。一回150mlと考えると、1日に5杯程度になります。
抹茶の場合は、1gあたり32mgのカフェインが含まれています。そして、薄茶(抹茶2g・お湯60ml)・濃茶(抹茶4g・お湯30ml)となるので、薄茶の場合はコーヒー1杯と同様になります。市販の抹茶ラテなどは大体薄茶の分量で淹れられています。
これが緑茶になると、含有量が1gあたり23mg程度になり、500ml中にも50mg程度の含有になります。そのため、緑茶はビタミンCの摂取量目安(50mg以下)も考慮して、一日10杯以下なら問題ないとされています。

風流を取り入れること

こういった成分や効能といった面で、実際に心身に効果が認められています。
だけど、そういうことよりも暮らしの中に季節を感じる色や香り、味覚を添えられることでの満足感がとても重要なことなのだと思います。
人は進化の中で、アートがあったから生き延びてきたと言われています。綺麗だな・素敵だな、それを飾ったり暮らしに取り込んで喜び合うことで、心身ともに健康を維持して、生きることへの意欲を保持し続けてこられたと考えられています。

昔は風流という言葉がとっても馴染んでいた暮らしがあったのだと思うのです。風流って、本当に素敵なことだと思うし、自分のこころの芯の芯の部分に響くような心地よさや嬉しさを運んできてくれるのです。
抹茶の道具もとっても風流です。
あんなに細かな粒子の抹茶の粉を、ダマにならず、泡立てて、口当たり良く飲めるように、丁寧に入れることも風流だし。より上手に淹れられる工夫を細部にまでこだわって丁寧に作られた道具は、優しくて美しくて風流です。

そんな職人さんのことも、一緒に飲んで楽しんでくれる人のことも、大切に感じられる時間が、何より自分の心と体を綺麗に美しく健康にしてくれると感じています。

漢方は自然哲学。そんな気候風土・陰陽・身の回りの世界全てを含んだ、多様性の中での健康や美しさ、喜びがとても好きですし、本当の健康と生き方を表してくれているように感じます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました